江戸名所図会から見る「目黒」- 行人坂〜太鼓橋〜目黒不動 –

江戸時代を知る資料として評価の高い、『江戸名所図会」から当時の目黒界隈と現代(2024年)を比較しながら見てゆきます。
歩き始めは目黒不動からです。(理由は、最後に行人坂の急坂を登りたいからです。登りはちょっと大変という方はルートを逆にしてくださいね。)

目黒不動

目黒不動、正式名称は「天台宗泰叡山竜泉寺」といい、不動明王を本尊としています。

不動明王とは?
密教の本尊・大日如来の化身と言われています。大日如来とは宇宙そのもの、森羅万象とされる仏。つまり不動明王は、大日如来がその教えを広めるために姿を変えて人々の前に現れたものとされています。

お寺の創建は平安時代初期の大同3年(808)、開山は慈覚大師(円仁)。ご本尊の不動明王像は、慈覚大師の作と伝えられています。関東最古の不動霊場で、木原不動尊(熊本県)、成田不動尊(千葉県)と並ぶ日本三大不動のひとつです。

浮世絵で有名な国芳の作品の「目黒不動」です。現在と同じく朱色の仁王門、その後ろに本堂への石段が見えます。

上の絵の左の部分にフォーカスしてみます。こちらは、現代と異なり以前は左側に滝(人口のもの)があったのでしょうか。龍の口から出る水に打たれるフンドシ姿の男たちが見えます。
今は、正面階段の左手にある「独鈷(どっこ)の滝」として竜口から水が流れているのを見ることができます

目黒飴

江戸時代、三代家光の命により5つの不動ができました。
目白・目黒・目赤・目青・目黄。
不動信仰は江戸中期以降に盛んになり、この目黒不動は多くの参拝客で賑わいました。

その時の名物となったものがあります。
1つめは
三色の餅花:うるち米の粉から赤白黄の3色の餅を作って、木の枝に刺したものです。1月15日の正月(花正月ともいう)に飾り、終わった後は「餅花」を焼いて食べると1年間無病息災でいられるとも言われています。この絵はお正月の参詣が終わった子供が餅花を欲しそうにしている様子でしょうか。

2つめは
・目黒飴(桐屋):白玉飴。白なのに黒飴というのは江戸っ子のシャレでしょうか。

右手奥でロール状の飴をこねているのが見えます。左手では、袋に詰めていますね。左手前では、複数の飴の袋をお土産にするのか風呂敷に入れているのがみて取れます。

太鼓橋


「この橋を渡るけど、だいじょうぶ?おかっさん!」そんな会話が聞けるほど橋の角度はありますね。雨が激しくなったり、雪の時は登れるのでしょうか。

江戸時代、目黒不動の参詣で、この橋は賑やかだったのでしょう。今も、桜の時期は川の両サイドに桜が川の上に張り出すように咲き誇ります。また目黒川ではクルーズ船が出ています。水門があり東京湾にも出られるとか。
この川面から見る桜は、当時は絵の川の流れが激しそうですね。また、今と比較して川幅が広がったのが分かります。

行人坂


太鼓橋を渡ってすぐ行人坂の急坂となります。平均斜度7.2。もっと急なように思えます。

坂の右手に天台宗大円寺があります。門を入ると釈迦三尊像、五百羅漢像などから成る520体ほどの石仏像(都有形文化財)があります。
そして、このお寺を有名にしているのが、明和9年(1772年)に江戸を焼いた3大火事の一つの行人坂の大火です。出火原因は、武州熊谷無宿の真秀という坊主が盗みのために庫裡に放火したことにより、死者は1万4700人、行方不明者は4000人を超えたと言われています。
そして、先の五百羅漢像は、犠牲者供養のため50年をかけて石工が完成させたと言われています。一体一体お顔が異なります。
出火原因となった大円寺は、76年間再建の許可が幕府から出なかったとされます。

今は、太鼓橋を渡って右手に目黒雅叙園が見えます。いまや8建てのホテルです。
ここは、百段階段を見て欲しいと思います。季節により特別展示を行なっていますので、ホテルのサイトをご覧ください。

百段階段
東京都指定有形文化財「百段階段」です。大正から宴会・結婚式場として使われていた場所。
創業当時は、日本料理に加えて北京料理メインとし、お客様に本物の味を提供することにとことんこだわった高級料亭でした。

今は、当時をしのぶ場所として有料公開させています。

東京で歴史を重ねた建築物で華やかなりし大正ロマン、昭和モダンの帝都・東京へタイムスリップ。昭和モダンの帝都・東京へタイムスリップして街を闊歩するようなひとときをお過ごしください。
WebSite : こちら

食事

食事は、以下はいかがでしょうか。
・トンカツの老舗「とんき」:1939年創業「とんかつ とんき 目黒本店」。
・目黒不動の門前のうなぎ「にしむら」:平日のみ(毎月28日を除く)  11時から13時まで。
土日はテイクアウトのみ:コロナ前は店舗2階で食事ができたのですが。

参考図書

目黒区ホームページ:歴史を訪ねて
江戸名所図会を読む」川田壽 東京堂出版 - 「夕日岡・行人坂」

 

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